秀BOWZ

日々、感じたことを詩にしています。

     彼女とバイク

  彼女は、ガレージでバイクを磨いていた

17歳の高校生 夏休みに免許は取った

 そして 今日の新学期 学校を辞めた…

 

 バイクの免許は、自分のアルバイト代で取った

つい1週間前に バイクが納車されたばかり…

 黒のカワサキ 4気筒エンジン 水冷 クォーターだ 心地いいエキゾースト 加速も思いのほかいい 何1つ言うコトのないバイク お気に入りだよ

 

時間ができると バイクで走るか バイクを磨いていた そんな 彼女の名は、由 横見由

 時間の流れるのを 忘れてしまいそうになる… 

由の家は、父の仕事の関係で単身赴任が多い

 由は、一人暮らしのようなもの 3年前に母を亡くしている

 

 学校に通ってた頃、バイト先の先パイが言ってたコト…

私は、意味のないコトは やらないよ ガッコーに行っても 金にはならないしね 金が出るだけ… だから 私は、ガッコーを辞めたんの 時間の無駄使い 由、バイト終わったら時間ある? いいモノ見せてやるよ

 

 ドタドタンドタドコッとすごい音がする…

確かに バイクの音 ゆーぅ、由 待ったーっ

 何とすごい音の正体は、先パイだった

どーよ 私んだぜ このヤマハ まだ 下手だけどね 気持いいよ 風になれるよ 乗るか? うん   でも 少しだけな 走り出すと スゴく優しく気持いい風が 先パイのコロンの匂いがした

 

 そろそろ バイトの時間だ 先パイのヤマハを思い出していた

バイト先までは、歩いていける コンビニエンスのバイトだ 少しでも ガソリン代を稼ぎたい

 いつかは いつかは、夢だけど 旅に出たい バイクで だから 自分で稼いだ お金じゃなきゃ イヤなんだ

 

13時から17時が 私のバイトの時間

月曜日から金曜日まで これが かなりヘビィだ

 今日は、時間で上がり 17時まで働いた

ちょうど バイク雑誌があったから買って帰ろう…

 

マンションに着いた 自分の部屋に入って

 ベッドに横になり 買ってきた雑誌をめくる…

見たコトもないバイク 大きいのもある カスタム…

 無いなぁ 無いよ 旧車の多い本なのに

20年以上も前のバイクだしね 冷蔵庫にBUD…

 冷蔵庫からBUDを持ってきて 口を開け一口

ベッドに横になり 雑誌をめくりBUDを一口飲む

 BUDを2本を空けて 夕飯も食べずに寝てしまった

 

 私のバイク、バイク 私のバリオスが無いよ

    そんな 悲しい夢で目が覚めた

   私のバイクは、カワサキ バリオス

  やっぱり 少ないのか ケータイには出るけど

 

 昨日、雑誌で 見た 先パイのヤマハ

ヤマハSR400  単気筒エンジン 空冷…

 先パイ どうしてるかな?

家から 遠くない  先パイん家に行ってみようかな  私のバイクも 見せたいし 先パイのケータイへ

 

 東大宮近くと言っていたけど あれ? 先パイだ

なんでだろ SRを押して 転がしているよ…

近くまで 行って 声をかける  おう! 由か

 バリオスを止めて ヘルメットを脱ぐ 先パイ…汗だく…

汗だくでSRを押していた アパートの前じゃ エンジンかけられなくてよ

 へぇ 由も免許 取ったのか バリオスか いいね

 

 先パイ…? 先パイは、いいよ 百合で… バイク仲間じゃん

 ガッコも辞めたんだ ガマン出来ないし 意味無いし…

 ねぇ 百合さん どこか 気持ちよく はしりたいね 百合さん 今、仕事は? バイトだよ

駅前のバーガーショップ コンビニよりいいぞぉ

由も来いよ  うん  じやぁ 今から 少し 流して 先のコト 考えるか?

 

 

 今日から一緒に働くコトになった 横美由さんだ

   横美です よろしくお願いします

新しい 日々が 始まった 私も みんなに追いつこう  コンビニエンスは、辞めた

  来る者は拒まず 去る者は追わずか…

昨日から今日の話だ 百合さんは、そんなモンだよって言ってた バーガーショップ駅前にある

 

12時から17時 バイトが、バーガーショップになって一週間になる

 少しは、慣れてきた 小さなミスはある 休憩の一時、コーラを飲んで ボーツとする 休憩時間が終わる もうすぐ17時 仕事上がり オーダーが入る バーガー5個にシェイク3個 一人で馬鹿か? しかも カウンター ま、私じゃないから ふっ おまちどう様…

 

 今日一日が 終わった 帰って バリオスを磨こう バイクを磨いていると イヤなコトを忘れる

 バイクを磨いてやりながら 今日一日のイヤなコトを話す 冷たい鉄の塊が話し相手をしてくれる

  もっとも 相手は、聞くだけなのだけども

 

 百合は、本名は 染谷百合子と言う 由の3コ上だ 百合さんは、ショップでも百合さんと呼ばれている ショップに行き始めて 1ヶ月半が過ぎた…

 由、カウンターお願い ハイ 結構、慣れてきた

来年の春までは、とりあえず 頑張ろう 目標がみえてきた

 

 この頃は、夜 バイクで走るコトが多くなった

女の子にしては、思い切りのいい 走り方をする…

 たまに R17を 走っていると 暴走族の お兄さんたち… フル加速で ぶっちぎり ふっ 女の子だと思って ナメるなよ…!

 マンションに戻る エンジンを切る 熱気

 

がスゴい 走ってる最中、由の膝辺りで ファンが回っていた バイクって熱いモノなのだと思った

 

 明日は、久々に父親が帰ってくるという

バイトから帰ってくると 父さんが 帰っていた

 なぁ バイクは、楽しいか? うん 面白いよ

学校は、辞めたのか うん 辞めてきた…

由、お前の人生だ 後悔しないようにな

 

 昔から 自立心が強い頑固な子だ

  いまさら 学校にもどる訳もないか…

 

 由、ドアの向こう側で 父さんの声 ドアを開ける バイクを乗るのもいい でも 事故には気をつけなさい 後は、あまり 言うコトはない 自分だけの 悔いのない人生をな

 父さん 明日、明後日までは居るけど また 出張だからね  ねぇ 父さん 少ししたら 行きたい所があるの  止めても 行くんだろ  うん

だったら気をつけて行っておいで…

 由、お前も 少し飲むか?  うん

BUDを持ってきて カンパイをする 一口飲んだ

 父さん 仕事の方は どうなの? 大丈夫だよ 相変わらずだ  由こそ どこで バイトしてるんだい? 駅前のバーガーショップ

 そうか どうだ 仕事は? うん 楽しいよ もう 一本 BUDを…二本目のBUDを飲み始めた頃、父さんから話しが出た 父さんな 由に会わせたい人がいるんだ  うん

 実は、その人と 再婚しようと思っているんだ

うん いいよ  そうか じやぁ 今度な

 

 その女性とは、二日後に会った 三十代中頃

割とキレイで可愛らしい女性で 名前を 岩井由美と言った  父が彼女に 由を紹介した

 私は、コーヒーに口をつけた 二人は、ニコニコ話してる  父さん、私 行くね 店を出た

 

 夏の日差しが 少しずつ 秋になって来る頃

彼女は、バリオスに夢中だった

朝から晩まで ストリートをロードを走り回っていた 走り回ると言っても マンガのようには 上手くいかず 時には、転倒したりと 随分、痛い 思いもした 何かが 違う 心の中で 自分が叫ぶ

 私は、こんなコトをするために バリオスで走っているんじゃない もっと 気持ちよくだよ…

 楽しく走りたいんだ こんなの私じゃない…!

木々の緑が、まだ 残る 中を ワインディングをゆっくりと走りたい

 今しかない 気持ちよく 走るんだ この ワインディングロードを…

 

 ある日、百合の部屋を訪ねた 由は、悩んでいた

どうした…? 由  百合さん 私、旅に出たいの…予定より 早いなぁ うん バーガーショップも辞める 少し違う場所で独りになりたいんだ

分かった 気にしないで行ってきな 由  ありがとう…

 

 この地方都市をこの小さな街を後にしようと思う

通りを走る 車のクラクション 人間関係がイヤになっていた 何と言っても自分自身がキライになりかけていた バイクショップでタイヤ交換 オイル交換を その他 気になる所を点検

 彼女は、由は 夜になるのを 待っていた

夜といっても 街が 静まり眠る頃

 道中は、なるべく高速には乗りたくなかった

どこまで 行こう私の旅…

 0時、出発の時間だ アテも無い予定も無い

彼女は、自分を探しに バリオスのエンジンをかける クラッチを切って ローギアに入れる クラッチをゆっくりつなぎ アクセルを開ける ゆっくりと走り出した