R16
ねぇ R17のいつもの店まで来てよ 待ってるか
ら いつものコトだ 仕事上がりの夜のツーリングジメジメした 梅雨も明けた頃だったろうか…
とにかく夏だ
アパートから出て R254 成増辺りまで ごっ
だ返す とにかくだ 車でごった返すこの成増を
過ぎると 道はスムースになる
1時間は、かかったろうか 彼女の待つ席へと
着いた 来たぜ 待ったかい?
彼女のエリミ君が 止めてある横に GPZ400Rを
止めた マスター オレをくれるかい?
ショートホープに火を点ける
ヒデェ この前私が前を走ってて迷ったじゃん
何、お前 そんなこと 気にしてるの?
そんなことより 今日も走るんだろ?
ベース前の公園で 缶コーヒー
今日は、ダメだよ 何か 疲れてる そっか…
ねぇ ヒデ 私ん家 来ない…? おいでよ
オレは、この時、 彼女に ゾッコンだった
これから バイクで行こうよ メットしてグローブして
喜久恵の部屋は 相変わらず 殺風景だった
オレは、タバコを吸っていた 喜久恵は、シャワー
を浴びている
ヒデェ 浴びちゃいなよ 分かったよ お前
早く出ろよ アンタ以外とつまらない男ね?
女の娘に ハジをかかせるの? 今入るよ
さっき 買ってきたハイネケンを ごきゅ 旨い
ねぇ 喜久恵ちゃん 飲もうよ つまみ作って
うん 少し 待って 少しして お好み焼き
サイコーじゃん
ハイネケン何本あるの? ダース スゴイね
あの人気度の高い彼女とオレは居る フィニシュ
私の彼なんだよ もっと 自信を持ってよ
何か元彼の話ししてたな 金持ちのボンボンなんだ
ってな 鼻で笑ってやるぜ!!
ねぇ ヒデ アンタみたいに 優しくはなかったよ
ハイネケンは、旨かった 彼女も楽しそうだった
お好み焼きが 美味しかった タマりません
のんびりと… ハイネケンを飲んだ ふたりで…
ガキの頃から モグリで アルバイトをしていた
決して裕福な育ちではない ハイスクール 退学
そんなモノより大切なモノがあった…
金がなくて 惨めな思いもした そんな青春だ
その頃かな 喜久恵と出逢ったのは
最初の頃は イザコザに 巻き込まれた…
頭から ビールをかけられた 俺をオレを 気に喰
わないらしい アタシの友達の喜久恵ちゃん 何
で 取るのよ 何でアタシの友達を取るのよ
ケッくだらねぇ!
思い出して 気分が悪くなった ハイネケンを飲む
やっぱ ハイネケンは いいや 旨い!
冷えているから トコトン旨い チーズを一口…
喜久ちゃん コーヒーを入れてよ
うん どう?パワー全開かな 何でしょ
もう1ラウンド なんて どうかなって 思って…
うん オレ 頑張るよ!おいで…
朝をむかえると 彼女が決まって コーヒーを入れ
る こんな 些細なコトで オレは ハッピーなん
だ 手料理なんて食べられたら 毎回 月面宙返りだぜ
太陽が サンサンと降りそそぐ 本格的に 夏だ
海 見たいな ねぇヒデ!あっ 何? 海だろ…
水着は? ビキニだろ? うるさいなぁ 見に行く
海岸通りを二台のカワサキがのんびりと走る
少しの間 のんびり走って止まる エンジンを切る
ねぇ 砂浜に降りてみようよ いいよ
ねぇ 来てよぉ!彼女は イエローのTシャツを脱
ぐ ジーンズに黒のブラ 喜久ちゃん
オレも白いTシャツを脱いで ジーンズで海へ…
缶ビール片手に 二人 寄り添った
どちらからともなく キスを お互いを求めあって
いた サンセット バイクのエンジンをかけた
なぁ 喜久恵 今日 オレンとこ来いよ うん 行
く R134-? R16 R254を池袋方面へと…
R254池袋 やっぱり 成増辺りでつっかかる
板橋区 ボロアパートの前 バイク二台を停める
電気点けるね ねぇ 何か部屋 汚いね
ちょっとさ ヒデェ少しの間 部屋から出てて
部屋を大掃除するよ 終わったら 呼ぶから
いーよ! 入って来なよ おーい ヒデぇ!
タバコ吸って ボーッとしてた いいよ 入って
おゎ オレの部屋がキレイだ 畳みが見える!
喜久恵ちゃん ありがとう ゴミは守ってね
板橋まで来て 大掃除とはね
ゴメン 俺の部屋 ベットが無いんだ… は?
あのねぇ これだけ 掃除すれば 分かるよ
二人で一緒に寝ようよ おん!
近所のラーメン屋にラーメンを食べに ビールも
コンビニでビールを買い込む
サンドウィッチ バーガー ベーコン バン…
今夜は 喜久恵ちゃんと飲むんだ
買ってきたビールは 冷えてる キリンだ ラガー
一口飲んで 喜久恵は エリミ君と どこまで走ったの…? 職場のサークルで ツーリングに行っ
たりさるよ でもさ 自分で選んだ 好きで選ん
だ 仕事じゃないし詰まらないよ
この前 ツーリングに行ったのね 女がバイクなんて生意気た!!たってさ
腹が立ったろうけど お前 バイク大好きだもんな
うん 走るの大好き
私は エリミ君と走るのが大好きなんだ
ビールを飲みながら ベーコンを食べる
少し 今夜は 気分が良い
なぁ 喜久恵 お前が欲しい… うん
オレは マヌケなことに そのまま眠ってしまった
この間の海 湘南江の島で バカをしたものだ
二台のカワサキ 真水で洗ってあげたんだ
オレは 仕事を上がって部屋でコーヒーを飲んてい
た ケータイか鳴る 彼女だった 夜こっちに来る
という
R16 ベース近くの馴染みのカフェ
今夜 お店に行くからとTELをした
一時間程して 喜久恵がアパートに来た
待ってたよ お前も行くだろ カフェ
きっと 気に入ると思うけど うん 行く
オレが ガキの頃からの 行きつけの カフェ
夜の闇の中に ポツンと灯りが レンガ造り
扉を開く 私も彼の後に 続く
やぁ マスター 久しぶり 元気だったかい
ヒデェは 元気みたいだな マスター 彼女は
喜久恵 オー キクエ かわいい娘だね
マスター 美味しい コーヒーを2つ頼むよ
ヒデェ まだ バイク 乗っているんだね
彼女も キクエも バイクかい
マスター みんなは 元気かい?
元気にしてる みんな元気だ ヒデェ サングラスは しないのかい
サングラスは 捨てたよ セピア色は さびしいよ
もう ハマには 戻らないのかい
マスター コーヒー 旨かった ごちそうさま ま
た来る
二台の黒いカワサキ R254 池袋方面に向かっていた 板橋区内に入る 近所のモツ焼き屋で買い物を済ませた 下町なのだ あちらこちら 小さな 店が多い 面白い アパートの前に二台のカワサキを停めた
ねぇ ヒデ さっきのマスターは 外人さんなの
うん そうだよ 日本に長いから ああなんだよ
悪ガキのたまり場 だったんだ 昔はね
今は 静かみたいだね もう 古い話さ 忘れたよ
ただ オレは そこから追われるように 逃げ出しただけさ 私 ヒデの昔って 聞いた事ないね
オレの過去なんて 面白くないぜ
ハイスクールは 退学たの知ってるよね…?
別にグレてた訳じゃない ツッパってた訳じゃない
オレは ただの不良だよ そう ただの 不良少年
だったんだ そんなグループの中の一人でも 一匹狼 相手のヤツが ナイフ出したんだ
スキを見て 殴り倒した
ボコボコにしたな あの時はさ…
そりゃ ケンカだ勝つとは 限っていない 負けることだってあった だから ただの不良少年だったんだ うん 分かったよ でも 説明だけだよ
答えが無いよ 喜久恵ちゃん アンタもメンドーな人ね だから 不良バイクチーム JUNK てなる訳さ 誰もがドコかしら ぶっ壊れちまってるのさ
まぁ ロクデナシの集まりだな
理解できたかい 大丈夫かな
その中でもオレは 油虫だったんだ
もう 古い話さ… 昔のコトだよ
マルボロに火を点ける 喜久恵は軽く吸い込む
何も考えていない様子だ マルボロをくわえている
ねぇ ヒデ うーん アンタ ワルだったんだ
お前ねぇ 今頃 遅いよ お前は オレの女だ…
分かっているよ 私 アンタのこと好きだよ
なぁ 今度さぁ オレんとこの 商店街 探索しょうぜ これが 結構ねぇ 面白かったり 美味しい店があったりと そういうの 喜久恵は キライかな? いいね 今度 行こうよ
私 誤解してた 男の人のコト ヒデのコトも…
男って 女の躰だけが 目当てだと思ってた
ただ 無理矢理 抱いてポイみたいな 犯るだけ犯って ポイ
別にオレは SEXがキライな訳さじゃないよ 下手だけど…ふっ でも 女の気持ちも考えてさ 好みもあるし 人の心を踏みにじるのは イヤなんだ
少し カッコつけたけど 夜の中 金ってヤツもいるし だから オレは お互いの 気持ちでさ
男と女 ただ SEXだけじゃよ オレは イヤだ
ジミーディーンに憧れてたジャックナイフをもて遊ぶ 乱暴者にかぶれて アウトサイダーで仲間を大切に思うことを知った
お前 分かるだろ これがオレのルーツさ
オレは ショートホープをくわえる 火を点ける
深く吸い込み吐き出す
喜久恵 お前 これからどうする…?
オレのことを イヤになったら 言えよ
オレは お前の前から 姿を消すからよ
おい! ヒデ スタンド・バイ・ミー は見なかったの? 私は 感動したよ うん 涙でたよ 友情な… ランブルフィッシュ も面白い
キング・オブ・ハーレー とか お前 好きだろ
クロス・ロード いいね 最高だね
何にしても 憧れちゃうのは 仕方ないね
明日 ここから 仕事行くから 今日 泊めて
オレんち 風呂ねぇよ うん Tシャツ かして
一緒に 銭湯いこうよ おん
コーヒー牛乳 一気飲み しょうぜ
銭湯の帰り道 アンタの気持ちが 分かったよ
どうしたの ビール買って帰ろうぜ 何か作ってよ
部屋に着いて ふたりで缶ビールを飲んでいた
もう 気にするなよ 喜久恵のコトは良く分かったから でも 私の気持ちが 良く伝わったよ オ
レにさ だから お前のコトが好きなんだよ
自分をキズつけるなよな 悲しい顔とか何となくさひしい顔は ても それても好きなんだ
2個目の缶ビールに手がのびる 口を開けて
一口飲む 今日は これで休まないか? 仕事だ
しな 私 こんなんで ゴメンね 謝るなよ
気にするなよ ショートホープをくわえ 火を点け
る 煙を吐き出す 3個目ビール 灰皿にタバコを押しつけて消した 缶ビールも飲み干した
一緒に寝ようよ 狼さんになるかもよ
いいよ 抱いて 平気だよ 本気で
分かったよ おいで…
連休明けの今日は 一応 月曜日だ カワサキで仕事に夏とにかく クソ暑い 肉体労働は たまらな
いぜ 朝5時30分から15時 ラクそうに思える 甘いぜ 土木作業員しかも アルバイト
公園の清掃 トイレも オレはゴミ ホスのダンプに乗って ゲートを開ける
ゴミ箱のゴミを全て ダンプ乗せる 汗たくよ
今度は ゲートを閉じる助手席を乗り降りをくり返す まぁ カワサキを養うタメたからよ 仕方ないね 何だかんたと カワサキとは付き合いは長い
13時30分 仕事上がりたぜ 彼女はどうしているかな 今朝5時に 部屋を出ていったからな
行ってらっしゃいの チューっはしたけど
さっきケータイか鳴ってたような 見てみた
彼女からだ tTELしてみる 今夜 走りたいという
福生に行きたいという うん
一応 今日は バイクで走るコトになった
R16は 決して暗い道路じゃない
街灯も点いていれば それぞれ 店もあったりして
目的のカフェに着いたのだ
ねぇ マスター ヒデって どんな悪ガキだったの
フッ 手のつけようがない かな?でも 憎めないきっと 多分 いいヤツだよ キクエも知っているはずさ ヒデの場合は 弱い者いじめをしたりしないし いつもは 大人しいヤツかな
ふたりとも お喋りし過ぎしゃん
たって ヒデ教えてくれないんだもん
マスター コーヒー もう一杯 お願いね
ショートホープ くわえて 火を点ける うん
じゃー マスター また 来るね
こんな毎日も 悪くねぇんじゃぇかってさ
オレ 今日から マルボロにするよ
惚れた女と 一緒だなんて最高だね
泣いたり 笑ったりの毎日
そうこうしている内に 子どもが出来て 家族が増えたり 嗚呼 黒いカワサキ二台 今は どこを走る