秀BOWZ

日々、感じたことを詩にしています。

    生意気なアイツ

 どこにでもあるチェーン店の居酒屋

今夜は、男三人女三人の合コン何を飲むか考えていた 詰まらない ジョークを、飛ばして笑っていたけど 取り敢えずビールかな

  

 左隣りの喜久恵という女と話していた

  何か冷たいモノが頭から

右隣りの女がヤキモチを焼いてビールかなかけた

   私の友達と何よ ビンタをくらった

 

 近くのバーに入って 一人で飲んでいた

カウンター席で 肩を叩かれた 喜久恵だった

こんな所で一人で飲んでたの 以外と短気なのね

彼女は、隣の席に座った マルボロをくわえ火を点けた 何を飲んでるの 私も同じのを

私、バーボン好きなんだ一緒に飲もうかなと思って

マスターボトルを頼むよ 俺、今夜は飲むから

名前、喜久恵だったよな 俺、秀っていうんだ

 

 革ジャンのポケットからハイライトを出す

一緒にKEYが落ちる ハイライトに火を点ける深く吸い込み吐き出す

ねぇ Kawasakiに乗ってるの 私は、黒のKawasakiに乗ってるよ バイク好きなの 何に乗ってるの

ZEPHYRだよ 私は、エリミネーターだよ

今度、ツーリングに行こうよ 俺と走っても面白くないよ 約束だよ

バイクは、どこに置いてきたの 駅の近くダチの家 

喜久恵と ケータイ番号を交換した 今夜は、タバコが旨い バーボンのボトルが空になる

 

 何か、うるさい ケータイが鳴っている 

眩しい目が痛い 喜久恵だった

 えっ どこだ ここは 女の部屋か…

シマッタやらかしたか イヤ 大丈夫だ

ねぇ、秀 あんた 私を忘れて寝ちゃったんだよ

酷いよ 女にハジかかせるなんてさ 最低ね ふっ

飲みすぎた 女を怒らす天才だな 俺は

ドァが開いた 喜久恵だった ほか弁だよ

食べよ 怒ってんじゃないの 食べようよ うん

 

なぁ 俺、バイク取ってくる 私も行く バイク運転してってよ 

 私、まだ一年経ってないの免許 俺、ノーベルかい? ダチの所に行ってZEPHYRを持ってきた 

 

ちょっと あんた 秀カスタム好きなの スゴイね

KER  KERなんていれて サスもオーリンズだし

ハンドルなんてセパハンだし オイルクーラーだつて付け替えてあるし…

スイングアームとかさぁ お前も いちいちウルサイね

 

じゃー俺、帰るからよ 私も行く バイクで走ろう

おいっ 喜久恵ぇ お前 俺のコト気になるだろう 

俺は、気になるケドな まぁいいや ふっ

セルでエンジンを掛ける 少しフカしてクラッチを切って ローギアにいれて ゆつくり アクセル開けながら ゆっくりクラッチを繋ぐ 

ローギアに入れて発進 マフラーの音が響く

 

喜久恵は、後からついてくるエリミネーター

二台とも黒のKawasaki R17を走っている

R17をそれて 狭い道に入る そこからR254に

一時間後くらいに家に家といっても農家を借りて自分流に改造したもの

響いていたマフラーの音が消える 喜久恵が来た

おい 納屋の方に入れな 誰も来ないけどな

 人里離れた こんな田舎だと思わなかったろ

だから 俺んち アシのあるヤツしか来ねぇの

 ねぇ 納屋の中 すごい パーツとかバイクが三台も… 少しは、ツーリングになったろ

 

 ウーロン茶飲む うん 俺、気になるんだけど 何でかさ

ハイライトを出して くわえる 火を点ける 灰皿におく 私もマルボロを出して吸う

ウーロン茶が、冷えてて 美味しい

 何か、殺風景な部屋 そんな気がする

写真発見 400Rに乗っての 面白い人の過去って

喜久恵、お前 俺のこと気に入っただろ

 ふっ 私を抱く気なの…

秀が、優しく抱き寄せ 激しいキスを…

息ができない程 でも 俺がお前を気に入っているんだ  

何、赤い 顔してるの お前 急にするなよ キス

うん 分かった 今度は 言うから

 俺たち つき合わないか   うん

 

 彼に秀に告白されてから 三ヶ月が過ぎた

私は彼と半同棲をしていた 当然、バイクも一緒に

この前、聞いたんだ 彼は 小四の頃から新聞配達をして 十六歳で二輪の免許を取って高校には進まなかった

新聞配達をしながら色々なアルバイトしたと言ってた 今は、溶接工をしている その仕事も十年目 悩んでいる

昔の知人からイラストつまり挿し絵の話しがきたとかで 俺、今日で、仕事 ヤメてきた  えっ

後は、のんびり考えるよ マルボロ ちょうだい

マルボロに火を点け 深く吸い込む 吐き出す 旨い お前は、仕事に行ってるんだろう うん 詰まらないよ

この前、仕事仲間のサークルでツーリング行ったのね 私さ、腹が立ったんだ 女がバイクなんて生意気だって言われた

喜久恵はよぉ バイク大好きだもんな 走るの好き

 今度さ R16を走ってみるかい ベースの辺りに 

ダチいるし  えぇ 私も好きだよ R16近くのお店

 

 なぁ 喜久恵、今夜いいか お前が欲しい

優しいキス 布団の中シーツにくるまってキスの嵐

急に激しいキス ディープキス 苦しいよ

 ねぇ もっと 優しくしてよ 胸 お握りしないでよ 痛いよ 秀やめてぇ 結局、最後まで…

どうしたの 痛かったよ 女の子 乱暴にしちゃだめだよ マルボロを吸いながら ベソをかいてる

優しいキス 来週に走りに行かないか

 エリミネーターに乗って行こうよ ZEPHYRと

 私、乱暴なのはイヤだよ キラいだよ

俺だって 遊ぶことばかり 考えていられないんだ

働かなきゃ メシも食えねぇし ガソリンだって買えないんだ

 

アルバイト探すな  うん 何か焦ってない

そんなことないよ 俺さエイプに乗るわ 納屋にあったろ 休日は、ZEPHYRね ツーリングね

 お前は… 実は私、仕事の他にアルバイトしてたの

バイクが欲しくてね  うん 小さいヤツね

 

彼女のバイクが今日、納車だという 

昼前にバイクが来た YAMAHA  GT80  ミニトレ

喜久恵ちゃん 何を考えているのかな GT80

2ストだよ

裏の山の野っ原で走ってみようと思って まじ

そっか エイプもタイヤくらいは、交換しないとな

エリミネーターは、納屋に置かせてもらえるかな

 うん ニコニコ マルボロをくわえる彼女

 

 あらヤダ カバーがかかつてるから 分からなかった GPZ400R SR400 エイプで ZEPHYRで四台

でも 彼に聞いたら GPZは、不動車だつて

GPZは、お店に出しちゃうんだって SRとエイプと

ZEPHYRは、乗るって

私のエリミネーター、GT80 ZEPHYRに寄り添うように GT80 ポケットからマルボロ くわえて笑ってみた

 

 

秀は、思う彼女の魅力は、時折 見せる 柔らかい微笑だと あの柔らかな微笑が 彼は、たまらないんだと 自分は、愛情に飢えているんじゃないか 何故か 情けなく思う

愛されたい自分 愛したいと思う自分 その隙間が埋まらない 二十六年間、生きてきて 初めて 感じる 感情だ

 

 彼女が帰ってきた 近頃、彼女はGT80にゾッコンだ 朝から夕方まで おにぎりに コーヒーを水筒に入れて 山の中の野っ原で走り回っているという どうだい GT80の調子は 気難しかったりしない ストレスなくエンジンは、回ってくれるかい うーん エンジンは 気持ちよく回ってくれる 

 でもさ これは私のせいなんだけど 少し カブるね 他は、何ともないよ チェックしてから走っているけどさ

 今さ 私、サイコーに面白いよ GT80にして良かった ニコニコしてる しかし 二十年以上前のバイクだ スゴいな 丈夫だし

GT80のどこが良かったの うん ドコドコとどこでも行けそうな 道を走るのは、当たり前だけど山のデコボコ道も走ってくれるし

面白いよ   GT80 マルボロに火を点ける

そして 静かな 微笑を… 

 

 今日は、エイプで山に来たんだ タイヤもブロックパターンにして 当然、ツーストロークの音 GT80  喜久恵のコンビも一緒だ

山の中の野っ原コース 何となく走れるようになっている 早速、彼女は 野っ原コースに出た 

俺は、ハイライトに火をつけ吸っている ぼーっと眺めていた

 エイプで走るか 野っ原コースに出る むずかしい 彼女は、グルグル回っているだけで楽しそう

トコトコとエイプで走っている ツーストの音GT80喜久恵 後に付かれた 抜かれた 彼女は、ニコニコ笑っていた

 喜久恵が、ホーンを鳴らし ガソリンスタンドへ

山を下る ガソリンを入れて山へ 山の中へ 野っ原へ お昼にしようよ  何気に彼女に聞いたんだ

スタンドにはいつも 何回  18回位だよ

 さり気なくマルボロをくわえている

私、今すごく楽しいんだ

おにぎりにコーヒー外で食べるのは、美味しい

お昼食べ終わったら ホンダ対ヤマハやろうぜ

そんなコト言っていいの またブチ抜くぞ

二人で、笑いながらコーヒーを飲んでタバコを吸った

 

 こんなの 初めてだよ こんな風に思ったコトなかったGT80に乗り始めて 初めて バイクってこんなに 楽しいんだってね

エリミネーターも楽しいけど 構えないで楽しいんだ

 なぁ R16  小型で行ってみないか どうだい

本当にGT80で私 行くの R16ベース近くの茶店でしょ 少し のんびりしたいんだ電話はしておくよ

 R17を走るエイプとGT80何か特別な感じ

しばらくするとR16 後は、真っ直ぐだ

所々フェンスが 福生だ 福生市 もう少し行けば 

横浜市 ベース前の茶店、秀が扉を開く 

やぁ マスター 外人さんみたいだった 喜久恵

コイツ 喜久恵 OIh-キクエ

 マスター美味しいコーヒー ふたつ タバコいい

革ジャンの内ポケットから マルボロ 

私と同じタバコにしたの うん そうだよ 同じのにしようよ うん

彼女が、マルボロに火を点け 吸っている

俺は、コーヒーを飲んで静かにしている

   そして マルボロをくわえる

 

 マスター皆は、元気かい あぁ 元気にしてる

秀、サングラスは しないのかい

サングラスは、捨てたよ セピア色ってのは止めだよ マスター もう 街には 住まないのかい

今は、田舎暮しだよ

今日は、デートなんだよ ツーリングだよ

じゃぁ マスター また 来るね ご馳走さま

いくぞ 喜久恵 さぁ 帰ろうぜ

 

 納屋にエイプとGT80を入れた

そうだ お前 GT80は、2サイクルなんだから オイルに気をつけてな 壊れてからじゃ遅いからね

解った 気をつける 帰り道に缶コーヒー二本買ってきた 二人で飲もうと思ってね

コイツが結構イケるよ

喜久恵は、お前は バイク好きだよな 俺は、今 忘れたい気分さ

お前のの友達でバイク 欲しいヤツいるかな

いたら教えてよ 何か売るのバイク そうだよ

ZEPHYRかSRかな 誰かいない

仕方ねぇ 店の人に取りに来てもらうよ

 

 

 ZEPHYRは、売れなかった SR400を売った

何かさ、寂しかったな 彼女なんか涙してたし

でも 仕方のないコト 俺も少しションボリさ

ZEPHYRとエイプが残った 実は俺には企みがあった 

 黒いSUZUKIが、欲しいのだ ライトスポーツ

三日後に届けると お店の人は言っていた

 

黒いSUZUKIが来た 何よ それ どうしたの 秀

エイプが100ccなんだよ 今さら 何で 125ccなの

だめだよ 返しちゃいなよ ねぇ ZEPHYRだってあるじゃん  ふっ 俺は、そういう年頃なのさ

自分でも何だか少し笑える マフラーも交換してあるしな 

そう 少しずつだ 少しずつ練っていこう そういう年頃なのさ くわえタバコで一人笑ってみた

喜久恵、お前が言ったろGT80には構えて乗っていないって  ZEPHYRは、随分とイジってあるよ

でも 構えて乗っていた

バイクの楽しさ面白さを取り戻そうと思ってね

十代の頃、初めてバイクに触れたト・キ・メ・キ

ドキドキして夜も眠れなかった頃のこと

そのトキメキやドキドキが あのSUZUKIには感じる

 ふっ 分かったわ 秀らしいわね 楽しもうよ

トキメキもドキドキいいけど 事故には気をつけようね

実はさ、私もそれ感じてるんだ

マルボロを取り出して 彼女は、くわえる

     微笑を浮かべながら 火を点ける

 

そういうのは イヤかい のんびりとした楽しい走りは 私は大好きだよ だからバイクに乗っているの 気持ちよく走りたいな 私は ねぇ 秀

少し落ち着いたら テント持って キャンプ

うん 行こうよ それまでお金を 貯めなくちゃね

だから 理解してくれたかい 楽しみたいんだ

   

 俺は、喜久恵がいてくれればいい 

     一緒にずっと走っていてほしい

  お前とGT80 俺のSUZUKIと走り続けたいんだ  照れるなぁ 私もだよ 一緒にいようね

ポケットからマルボロを出してくわえて にっ 

  そんな 彼女が俺は好きなんだ

    少し生意気なかわいいヤツ