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夜のパーキング 俺は、缶コーヒーにタバコを吸っていた 黒いのと一服していた そこに若い女が現れた ‘オジさん コレに乗れるの ?’
俺は、黙ってタバコをフカした ‘ ケツに乗るかい …? ’彼女は、うなづいて 微笑を見せた
エンジンをかけて ロウギアで発進した
原付二種なので 高速は駄目さ…
まぁ 街中を走り回って、隣街を 走り回って
タンデムで120キロには、俺もビックリした
後ろで背中を 革ジャンを叩く 背中をドンドンって感じ 彼女は、微笑んでいた
‘ オジさん 私と飲まない?私の部屋においでよ’
彼女のアパートに着いた 女の部屋にしては、殺風景だ 冷蔵庫からHeinekenをよこす二人でカンパイ
参った 俺としたことが お持ち帰りされてしまった様だ
タバコをフカして思った お笑い草だ ‘オジさん
だ’ 生意気な仕草、タバコを取り上げフカした意地らしい
そんな 彼女に参ってしまったようだ
‘ オジさんは、止めろ! ’出逢ったばかりなのに三本目のHeineken彼女は、眠ってしまった
一週間後、俺は パーキングにいた もう一台の黒いヤツ 彼女だった ‘ 女の子に恥かかせて もう 逃さないから ’
‘ いつ 免許取ったんだ ’ ‘私、持ってたんだ ’
‘ 何で黒いヤツにしたんだ? ’ ‘同じヤツに乗りたくてさ ’
俺の真似が、変わった女だ タバコを吸っていた俺は、怯えていた 彼女の存在が、俺の中で大きくなっていく ドンドン
パーキングから 走り出していた デビル管の音が響く 後から彼女が くっついてくる しばらくしてコンビニエンスに寄る
‘ なぁ お前の部屋でゆっくり飲みたい ’
‘ うん いいよ ’ 彼女の部屋には、バイク雑誌が何冊かあった
グラスにバーボン ふたりで カンパイ
‘ 何か作ってくれるかい? ’ ‘ お好みでいい? ’ ‘今夜は、バーボンが旨い ’
彼女の笑顔のせいだろうか 気持ち嬉しいのだ
何でかんな俺なんかに オジさんなんかに不思議なものだ 何故…
ましてや お揃いのバイクを買ってまで…
前までの俺なら ‘ まんざら悪くもねぇ ’って突っ走ってたんだろう
どうも そんな気持ちに なれない 臆してるのか そんなんじゃない 彼女は、水割りを楽しそうに飲んでいる
こんな調子じゃ また 彼女に叱られそうだ…
‘ ねぇ 明日、岩魚を食べに行きたいな ’
‘ いいよ 行こうか ’